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3年前、禁煙補助薬が保険適応になってから、結構一生懸命、禁煙外来に取り組んできました。
この間、日本禁煙学会なるものがあることを知り認定指導医の資格をとり、
禁煙外来受診者は100名あまりになりました。
長期成績はまだまとめていませんが30%前後の印象で、既存の報告と大差ありません。
問題はこの結果をどう評価するかです。
私は最近、分からなくなってきました。この結果がいいのか、悪いのか。 |
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最近、そもそもタバコとは、喫煙とは何ぞや?などと悩んでいます。
タバコは嗜好品、嗜好とはその人の好み、その人の好みにとやかく他人が口を挟んでいいのかしら?
愛煙家にとって喫煙は紫煙をくゆらす、えも言えぬ至高の愉しみの時間かもしれません。 |
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喫煙の健康被害の声高な宣伝やある県の条例のように過度の規制は、
本当に禁煙の拡大に有効なのでしょうか。
へそ曲がりな愛煙家に対しては、これらの方略は全く逆効果なことは明々白々。
確かに喫煙率は低下しているのに、肺がんの死亡率が増加しているのはなぜかしら。
タバコだけが肺がんの悪者ではないということです。
「だってタバコを吸わなくても肺がんになる人もいるし、タバコを吸っても肺がんにならない人もいる」
というもっともな愛煙家の主張に反論する根拠を公衆衛生学は持っていないのかもしれません。 |
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嗜好品に関する法的規制に関してもアメリカにおける禁酒法の失敗は有名です。
日本でもタバコが伝来した16世紀前半、すぐに幕府から禁煙令が繰り返し出されていたそうです。 |
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そもそも、喫煙にニコチン依存症という病名をつけていいのでしょうか。
依存症の定義を見ると、使用量を自らコントロールできないこと、
そして、使用量が増していくこととされています。
飲酒はこの定義に当てはまる人がいるような気がします。 |
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喫煙はどうでしょうか。
どんなに愛煙家でも飛行機の中や映画館、会議などでタバコを吸わないでいることはできます。
また、すべての喫煙者の喫煙本数が際限なく体を壊すまで増えていくわけでもありません。
さらにヘビースモーカーでもあっさり翌日から禁煙できる人がいます。
本当に喫煙はニコチン依存症なのかしら?? |
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人が自発的に嗜好品をやめる動機にはいろいろあるようです。 |
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1.身にしみた型: |
愛煙家の家族や親しい人が肺がんで亡くなった、 |
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2.強制屈服型: |
家庭や職場の“権力者”による完全禁煙令に服従した、 |
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3.付和雷同型: |
何となく禁煙ブームや禁煙した知人をまねした、 |
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4、喫煙飽満型: |
喫煙に飽きた、十分吸った、 |
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などなど。 |
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これらの方には、たぶん、これからも、
私は禁煙補助薬の処方と禁煙に対する代償行動や環境整備の方法などを提供していくでしょう。
補助薬なんてなくたってやめるときは止めることができるんだけど・・・などとブツブツ言いながら。
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禁煙する意志のない方には罹患しないとは言えないタバコ病には自己責任を負い
、
タバコの煙と匂いに弱い周囲の人には十分な優しさを持っていただければ喫煙ok、
経済成長のど真ん中にあった日本のあの懐かしいキャッチコピー
「今日も元気だ、タバコがうまい!」を差し上げるつもりです。 |
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