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質問: |
39才、男性です。
健康診断で軽い貧血を指摘されたことがあるくらいで特別、病気はありません。
先日、座位で晩酌中、失神して倒れてしまいました。妻が物音に気付いて駆けつけ気が付きました。
尿失禁がありましたが動悸などはありませんでした。 |
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答え: |
失神発作とは一時的に意識を失い、通常同時に四肢の脱力も伴って卒倒する発作を指します。発作のあとは元の状態に回復しますがその間の記憶はありません。
似ていますが一時的に記憶を失うだけで意識はあって麻痺はなく普通に行動している場合は一過性全健忘と呼ばれ異なる病気です。
意識消失発作の原因には様々なものがあります。
発作の起きた状況、誘因、前駆症状によりある程度、原因を推定することができます。
比較的若い人で痛みや緊張など精神的ストレスのかかる状況で意識を消失した場合は血管迷走神経反射を疑います。吐き気、冷汗、顔面蒼白などの自律神経症状を呈する場合もあります。そのようなストレスのかかる状況を避けても発作を繰り返すなら心療内科などで抗不安薬を処方してもらうこともよいでしょう。
男性に多いのですが夜間トイレに起きて排尿後、失神、卒倒する場合は状況失神を疑います。排尿時は交感神経より副交感神経が働くので血圧も低下して失神の原因になることがあります。夜間の排尿を減らすこと、排尿を我慢しすぎないことが大切でしょう。
髭剃りで頸部を回したりネクタイや硬い襟で頸部を圧迫しすぎると、頸動脈洞反射で意識が遠のくことがあります。
血管迷走神経反射、状況失神、頸動脈洞反射野3つをまとめて神経調節性失神と呼びます。これらはともに血圧、脈拍を調節している迷走神経の調節が不調になって、脳血流が不足して起きる失神だからです。
比較的高齢者で高血圧、脂質異常症など成人病がある場合は心血管性失神を疑います。特に臥床時に胸の痛みや動悸を伴い失神する場合はその疑いが強まります。
循環器内科を受診して心電図、エコー検査など専門的検査を受けて治療を受けることが大切です。真夏の暑い日に庭の草むしりの最中、立ち上がった時に失神する場合は脱水による起立性低血圧が疑われます。胃潰瘍からの大量出血で突然、起立性低血圧をきたすこともあるので消化器内科の受診も必要です。
失神発作に限らずすべての病気に言えることですが、よくある病気で後遺症を残さない普通(コモン、common)の病気と、頻度は少ないが見逃すと重大な後遺症を残す危険(クリティカル、critical)な病気があります。
失神発作に当てはめると心血管性失神はクリティカル、神経調節性失神はコモンです。
あなたの発作は座っているときに、特別なストレスはなくおこっているので心血管性失神をまず疑わなくてはいけません。若い人に突然不整脈が起きて失神するクリティカルな病気もあります。循環器内科を受診されて心電図など精密検査をお勧めします。 |
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状 況 |
誘 因 |
前駆症状 |
神経調節性失神 |
血管迷走神経反射 |
起立時 |
痛み・緊張・不安・恐怖 |
吐き気・冷汗・蒼白 |
状況失神 |
起立時 |
咳・排尿 |
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頸動脈洞反射 |
起立時 |
頸部の締め付け・回旋 |
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心血管性失神 |
心筋梗塞、弁膜症 |
臥床時 |
運動 |
胸痛 |
頻脈性、徐脈性不整脈 |
臥床時 |
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起立性低血圧(調節障害) |
起立時 |
貧血、脱水 |
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