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質問: |
半年ほど前から歩幅が狭くなり、友人と同じスピードで一緒に歩けなくなりました。
トイレが間に合わないこともあります。
脳神経外科で正常圧水頭症の疑いがあるといわれました。
どんな病気ですか。 |
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答え: |
「正常圧水頭症」とは歩行障害を主体として健忘症状、尿失禁をきたし、脳室拡大を伴う病気です。中高齢者に多くみられ、症状はゆっくり進行します。 |
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脳室内で産生される髄液の吸収が頭頂部で悪くなり髄液が脳室内に過剰に貯留した状態(水頭症)が原因です。 |
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典型的には髄膜炎やくも膜下出血、頭部外傷の後遺症として見られますが、髄液の吸収障害をきたす原因が明らかでない場合も少なくなく見過ごされている可能性もあります。 |
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60才以上で、症状の3大特徴である歩行障害、健忘症状、尿失禁のいずれかがあればこの病気を疑います。
特に歩行障害はほぼ全例にみられ、歩幅が狭く、すり足で足を開いて歩くことが特徴です。
健忘症状は軽症から重症までさまざま、尿失禁は括約筋障害のほか歩行障害の関与もあります。 |
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MRI検査で脳室の拡大や頭頂部の脳溝の狭小化がみられればその疑いが強まります。
さらに腰椎穿刺により何回かに分けて髄液を排除したり、腰椎にカテーテルを留置して髄液を持続的に排除して、その後症状が改善すれば診断はほぼ確定します。 |
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症状が似ていても原因の異なるアルツハイマー病やパーキンソン病とは、海馬を含めた脳萎縮の部位や歩行障害の特徴などにより区別されます。 |
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治療は手術による髄液の排除で、通常、脳室腹腔短絡術が行われます。
安全で比較的簡単な手術です。
手術治療により半数以上で症状の改善が見られ、特に歩行障害の改善率が高いようです。 |
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脳室の拡大、シルビウス裂の拡大、頭頂部脳溝の狭小化 |
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(特発性正常圧水頭症 診療ガイドライン、 日本正常圧水頭症研究会より引用) |
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