確かにアルコール依存症でも幻覚などの意識障害、手の震えなどの神経症状が出現します。
しかし、ご質問にある症状はてんかん発作の一種である精神運動発作としてもおかしくない症状です。また、高齢者のてんかん発作は脳梗塞の前触れである一過性脳虚血発作、起立性低血圧、心臓の不整脈などによる失神発作、ヒステリー、一過性過換気症候群、睡眠薬の副作用など、紛らわしい別の病気と区別する必要もあります。
高齢者のてんかん発作は突然意識を失って卒倒し、手足をけいれんさせる典型的な大発作の形をとらないことが多いからです。
いずれにしても抗てんかん薬の服薬にもかかわらず発作が持続しているのですから、これらの病気でないか区別する必要がありそうです。
診断には発作の様子の詳細と、血液検査、心電図、脳波検査、脳画像検査などが必要です。
脳神経外科で画像診断はされたと思いますが、その他の検査はかかりつけの先生とご相談の上、神経内科、精神科、循環器内科で精査をお願いしてみてはいかがでしょうか。
高齢者では心電図や脳波、代謝の異常が軽微で見逃されやすいこともあるようです。
てんかんは小児期の病気というイメージがありますが、最近は加齢とともに増加し、小児期よりも65歳以上の高齢者の患者が多くなっています。
高齢者のてんかんの原因は、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、認知症によるものなど症候性のものが2/3を占め、高齢になって初めて発症するてんかん患者も少なくありません。
てんかんと診断されれば、高齢者には脳への副作用が少なく、加齢に伴う内臓機能の低下があっても血中濃度に変動の少ないバルプロ酸、カルバマゼピン、ガバペンチンなどの抗てんかん薬が用いられます。
高齢発症のてんかんは再発しやすいので服薬は継続して飲み忘れないことが大切です。 |