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抵抗血小板薬(バイアスピリン) |
抗凝固薬(ワーファリン) |
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作用機序 |
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アラキドン酸→トロンボキサンA2 |
肝臓でのビタミンKの再利用 |
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合成酵素Cox2の阻害 |
還元酵素VKORの阻害 |
効果発現時期 |
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服用後数時間 |
服用後数日〜1週 |
効果消失時期 |
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休薬後数日〜1週間 |
休薬後2〜3日 |
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従来、脳梗塞、心筋梗塞の既往 |
あり |
なし |
年令に関係なくワーファリン |
高血圧、糖尿病、脂質異常症 |
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あり |
なし |
75才以上ならワーファリン |
経過観察 |
INR目標値 70才以下2.0〜3.0 |
INR目標値 1.6〜2.6 |
(ワーファリン2〜3mg) |
(ワーファリン2〜3mg) |
70才以上1.6〜2.6 |
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(ワーファリン3〜4mg) |
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ワーファリンの効果に影響を与える要因は肝臓や腎臓機能、食べ物、服薬の不規則、他の病気の薬の4つがあります(表2)。
血液が固まって血栓ができるために必要な12種類ある凝固因子のうち4つは肝臓内でビタミンKの働きの補助を得て活性化されます。
体内のビタミンKは限られた量しかないので、通常還元されて再利用されています。ワーファリンはこのビタミンKの再利用を促す酵素(VKOR)の働きを阻害して活性型ビタミンKを不足させ、凝固機能と血栓形成を抑制します。
もし体内にビタミンKが豊富にあるとワーファリンの作用が減弱します。ワーファリンの作用を低下させる食物はビタミンKを多く含むものです(表3)。
ビタミンK100μgでワーファリン0.25mgの効果を相殺し、INRは約0.2低下するとされています。
市販されている糸引き納豆人パック40gはビタミンKを350μg含有しているので、1パック食べるとINRは約0.7低下、ワーファリンに換算すると0.88mg、1mgの錠剤をほぼ1錠飲み忘れたのと同じことになります。
通常処方されている量は75才以上の高齢者で2〜3mg(1mg錠で2〜3錠)です。
ブロッコリーやほうれん草、緑茶や改装にもビタミンKが含まれていますが納豆よりは小量です。これらの食べ物を絶対に食べてはいけないということではなく、いちどに大量を摂取してはいけないということです。
もし、納豆でも小量を毎日食べるのであれば、それに合わせてワーファリンの量を増やせば、目的のINRは得られることになります。
ワーファリンの効果に影響を与えるものに他の病気の薬もあります。効果を増強するものに通風と脂質異常症の薬、効果を減弱するものに骨粗しょう症の薬があります。食べ物の種類と合わせて他科から処方されている薬にも注意し、医師によく伝えてください。 |
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ワーファリンの効果に影響する因子 表2 |
1. |
肝臓病、腎臓病 |
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2. |
食べ物 |
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3. |
服薬の不規則 |
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4. |
他の薬剤 |
効果増強: 痛風のある薬、 脂質異常症のある薬(フィブラート系) |
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効果減弱: 骨粗しょう症のある薬(グラケー) |
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ワーファリンの効果に影響する食べ物 表3 |
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ビタミンK含有量 |
INRの低下 |
ワーファリン換算 |
糸引き納豆 |
100g中 |
870μg |
約1.7 |
約1.25mg |
ひき割り納豆 |
100g中 |
1300μg |
2.6 |
3.25mg |
市販の糸引き納豆1パック |
40g中 |
348μg |
0.7 |
0.88mg |
クロレラ |
100g中 |
3600μg |
7.2 |
9mg |
ブロッコリー、ホウレン草、シソ、緑茶、海苔、わかめなど |
一人前 |
100〜300μg |
0.2〜0.6 |
0.25~0.75mg |
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Tips |
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INR=患者のプロトロンッビン時間/健常者のプロトロンビン時間 |
正常値1 |
抗凝固作用1.5以上 |
ワーアファリン0.5mgでINR 0.4、1mgでINR約0.8上昇 |
ビタミンK100μgはINRを約0.2低下、ワーファリン約0.25mg分の効果を相殺する |
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ワーファリンの副作用は出血傾向ですが、歯科や皮膚科、眼科の処置、小手術の際には通常ワーファリンを休薬する必要はありません。服用中に消化管出血を起こした時や外科手術を受けるとき、慢性硬膜下血腫などを起こした時にはワーファリンの服用を中止する必要があります「表4」。
ワーファリンの効果は2~3日で消失します。急速にワーファリンの抗凝固作用を止めたいときにはビタミンKや第IX凝固薬の静脈投与が有効です。 |
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